tadashiro’s blog

しろのブログ

落語、北海道、野鳥など。

髭のおじさん in 明烏

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NHKのラジオ番組「すっぴん! *1 」を時々聴くのだけど、中でもお気に入りなのが「ユカイな江戸暮らし  *2 」というコーナー。山田順子さん *3 のお話が落語の楽しみ方をより広げてくれる。

例えば、花魁と遊ぶには多大な費用がかかったという話。太鼓持ちやら何やら、花魁だけじゃなく、随伴してきた全員に飲み食いをさせて、どんちゃん騒ぎして、それからようやく花魁と・・・と思いきや、1〜2回目は何もできずに・・・なんていうことを知ると、「幾代餅」みたいな廓噺がより愉しめる。

五社英雄の「吉原炎上」を観て以来、熱心に吉原のことを調べ続けてきた夫(笑)はある程度知っていたことのようだけど、妻は初耳だったので、とても勉強になった。

それから、「男の身だしなみ」で出てきた髭の話。髭を生やしていたのは、医者などの特定の職業に従事している人か、堅気じゃない人ぐらいだった、という話を聞いて、「明烏」の何気ない描写だと思っていたものが意味のあるものに変わった。

お稲荷さんだと思っていたところが実は吉原だったと気付いて帰ろうとする若旦那を、源兵衛と太助が騙して帰らせまいとする場面で「髭のおじさん」という表現が使われている。

以前は単なる見た目の描写にしか感じられなかったのだけど、これは実は堅気じゃない人であることを示していて、脅しの効果を高めているんじゃないかと思うようになった。若旦那は相当な恐怖感を抱いて、脅しに屈してしまったんじゃないだろうか。

こんな風に、何気なく聞き流している描写が、実は何らかの意図を持って入れられているということがまだあるんだろうなぁ。さらに研究に励まねば。

 

 

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