tadashiro’s blog

しろのブログ

落語、北海道、野鳥など。

落語による安全運転のすゝめ(と落語のテンポの話)

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北海道の交通事情と落語のテンポの話

北海道はでっかいどう

北海道はでっかいどうなので、道路の幅が広く、その割に交通量が少ない。普通に運転していると、ついつい速度を出し過ぎてしまう。郊外だと少しくらいの速度超過は当たり前で、制限速度で走るとストレスが溜まるとか、眠くなっちゃうっていう人も多い。

眠気覚ましにロックを聴くと・・・

夫の場合、以前は眠気覚ましにクイーンとかディープ・パープルなんかを聴いていたんだけど、そうすると、ついついアクセルを踏み込んじゃうので、警察と鹿が怖い。

落語のすゝめ

そこで提案したいのが、「落語をBGM(?)にして運転する」という方法。中でもお薦めしたいのは柳家さん喬。制限速度を守っていても、全然ストレスにならない。シャドーイングをすれば、眠気も防げる。*1

柳家さん喬Andante

柳家さん喬の「ねずみ」の枕 *2 なんかを聴いていると、徒歩の旅の良さを説いていて、自動車の旅を批判しているのだけど、それを聞きながら運転するというのもなかなか乙なもの。速度記号で表すと、Andante って感じかな。

5代目柳家小さんは Lento

先日、5代目柳家小さんのCDを手に入れたので、運転中に聴いてみたんだけど、かなりテンポがゆっくりで、気がついたら制限速度をかなり下回ってしまっていた。Lento って感じかな。

法的には問題ないんだけど、あまり遅いと、他の車の事故を誘発してしまいかねないのが北海道。だから、北海道のドライブには、小さんはお薦めできない。

落語のテンポについての考察

ところで、ある音楽家が「馬車の時代の Andante と自動車の時代の Andante は速度に違いがある可能性が高い」って話していたのを聞いたことがある。だから、現代では小さんは Lento に聞こえるんだけど、小さんが現役だった頃は Andante だったかもしれないなぁ、と思ったりする。

若手の落語家は早口すぎるなぁ、と感じることが多いのだけど、いずれはそれが普通のテンポになるのかもしれない。

速度の幅

でも、基本の速度が速すぎると、緩急をつけるにはさらに速くするか、逆に遅くするしかない。しかし、客が聞き取れる能力には限界があるので、あまり速くすることができないし、基本の速度から遅くなると緩慢な感じがしてしまう。だから、速度の幅が狭くなってしまう。やはり、基本の速度を少し抑え気味にして、自在に速度を変えられるようにした方が、表現の幅が広くなると思う。

野球で言うと、小宮山悟(こういう例を挙げると年齢がばれるよね)みたいな感じがいいんじゃないだろうか。サッカーで言うと、マラドーナ(だから、年齢がばれるって)のチェンジ・オブ・ペースとか。単純に速けりゃいいってもんじゃない。

小さんの枕

小さんのCDを聴き始めたときは、かなり遅く感じたのだけど、枕を聴いているうちにすぐにそのテンポに慣れてしまって、冗長には感じなかった。むしろ、少しテンポを上げただけで、とても小気味よいリズムに感じられる。名人の枕には、自らのテンポに客のテンポを同調させる働きがあると思う。

テンポの変化で演じ分ける

 実は、このテンポの幅が、1人で複数のキャラクターを演じ分けるのに重要なのではないかと考えている。小三治シャドーイングをしてみて気付いたのだけど *3小三治はどのキャラクターも声の高さをほとんど変えずに演じ分けている。もちろん、言葉遣いの違いもあるのだけど、リズムやテンポの違いが、キャラクターの違いを際だたせていると思う。

若手の早口の落語は、それが上手くできないから、誰が話しているのかが分かりにくかったり、説明が過多になってより早口になるという悪循環に陥ったりしているのではないだろうか。

 

  

*1:過去記事(内部リンク)

*2:もちろん眠るための枕ではなく、落語で本題の前に語る部分のこと。

*3:小三治は「落語のCDは・・・・・・もし弟子や後輩が、あれを叩き台にして覚えたら、そいつら全部ダメだなと思いました。」(なぜ「小三治」の落語は面白いのか? (講談社+α文庫) [ 広瀬 和生 ])と言っているけど、夫は落語家じゃないから大丈夫だよね。

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