tadashiro’s blog

しろのブログ

落語、北海道、野鳥など。

『なつぞら』の「牛乳豆腐」と「ジャガイモ」が気になってしまって・・・

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なつぞら』はまた東京が舞台になっていたので、なかなか書けることがないなぁ・・・と思っていたのですが、主人公なつの家族が十勝から上京してきたことで、気になる北海道ネタが出てきました。

朝ドラに「リアル」を求めすぎてもしょうがないとは思っているのですが、できるだけ違和感を抑える努力はして欲しいと思うんですよね。そのあたり、北海道弁について以前に書いたスタンスと同じなのですが、不自然さが気になると、物語に集中できなくなってしまう質なもので・・・。

まずは。牛乳豆腐

牛乳豆腐そのものが問題なのではなくて、その輸送方法が気になってしまいました。飛行機を使わずに鉄道と青函連絡船を乗り継ぐと、いったいどれだけの時間がかかるのか。

なつ が上京した昭和31年頃のことをNHK札幌放送局がまとめていて、それによると、帯広駅から上野駅まで34時間かかっていたそうです。(現在そのWEBページは削除されています。)

 

以前、なつ が川村屋にバターを持ち込んだときにも違和感があったのですが、欧米ではバターを常温で保存しているそうなので、夏じゃなければ、まぁ運べないこともないかなぁ・・・と、何とか納得はしていました。

www.olive-hitomawashi.com

今回は、それから10年以上経過した設定のはずなので、所用時間が短縮されているはずだとは思いますが、東北新幹線はまだ開業しておらず、大幅には短縮されていないはずです。*1

そんな時代に、「牛乳豆腐を持って行こう」っていう発想が生まれるだろうか・・・。開拓者精神を体現したかのような、あの泰樹さんなら思いつきそうだとは思います。でも、周りの人は驚くのが自然なんじゃないかなぁ。例えば、こんな感じに。

牛乳豆腐!? どうやって持ってきたの? 大変だったでしょう。」

「なんもだ。発泡スチロールの箱に、雪月で分けてもらったドライアイスを入れてきたんだわ。したら、ほら、まだ冷たいべ。」

「さすが、じいちゃん。」

とか、勝手に脳内補完。

ちなみに、その牛乳豆腐。厳密な意味の牛乳豆腐は初乳で作られるもののため、泰樹さんが言うように「牧場でしか作れない」ものですが、なんちゃって牛乳豆腐なら作ることができます。要はカッテージチーズと同じようなものなので、牛乳と酢があれば、作れるんですよ。*2

www.meiji.co.jp

うちでも作ったことがあります。

でも、市販の牛乳で作ったものと、農家から頂いた牛乳で作ったものでは、やっぱり味が違います。もちろん、頂いた牛乳の方が美味しい。だから、滅多に作りません。

おっと、せっかくの頂きものをそんな風に使うなんて・・・と思われたかもしれませんね。でも、いっぺんに何リットルも頂いてしまうと、夫婦2人だけではとても飲みきれないんですよ。とても消費しきれない程の量の食料品を贈ってしまうのが、北海道クオリティ。

夫の実家も・・・あ、そうだ、もう1つ気になったことを忘れるところでした。

それは、咲太郎のちょっとした台詞なんですが、「たくさんのジャガイモを送ってもらって・・・」という言葉。

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こっちは簡単に腐るものではないので、輸送の問題ではなく、「たくさんの」も問題ではなくて、とすると、何が問題なのかというと、ジャガイモに対する当時の道民の考え方なんですよ。

北海道のジャガイモは本当に美味しいんです。野菜の直売所なんかで買うのはもちろんのこと、家庭菜園で作ったものも、なんなら、普通にスーパーで売っているものでも、妻が東京で食べていたジャガイモとは全然違うのですよ。

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でも、北海道の人たちは、そのことが感覚的に分からないようなんです・・・と言うと、言い過ぎかもしれませんが、少なくとも夫の実家やその周辺ではそうなんです。

結婚したばかりの頃、夫の母から「妻の実家(東京)へ何を贈れば喜ばれるか」と相談されたとき、妻はジャガイモを提案したのですが、「いやぁ、そんな珍しくもないものを・・・」なんて言って、なかなか受け入れてくれませんでした。

何度も説得したら、「こんな安いものを贈って、失礼に思われないべか・・・」なんて言いながらも送ってくれて、妻の母が大喜び! ということがありました。今でもジャガイモを送るときは躊躇しながら送っているようですけど。

似たようなことは、イカでもありました。夫の実家で食べたイカがあまりにも美味しかったので、「これを送っていただいたら、きっと喜びます」と妻が言ったのですが、「いやぁ、したって、イカなんて買うもんでないから・・・」と、あまり積極的に送ってくれません。イカは知り合いの漁師さんから貰って食べるもので、わざわざ買うようなものではなく、そんなほとんど無価値な食材を贈っては失礼だ、と言い張る夫の両親。いや、それこそ東京では簡単に手に入らない貴重なものなんですけど。

というわけで、ジャガイモのくだりも勝手に脳内補完。

「たくさんのジャガイモを送ってもらって・・・」

「いやぁ、うちで作ったものだから。買ったものでなくてごめんねぇ。」

「いえ、北海道のジャガイモは本当に美味しいです。世界一ですよ。」

「そうかい? したら、また送ってもいいべか?」

とか、どうでしょうね。

 

*1:東北新幹線 - Wikipedia:外部リンク

*2:牛乳豆腐 - Wikipedia:外部リンク

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