「NHK新人落語大賞」を観ていたら、柳亭市弥が「あくび指南」をやっていて、審査員から「難しい噺に挑戦した」と評価されていた。
どういう難しさがあるんだろう・・・とちょっと考えてみたので、書いてみたい。
べつに落語家を目指しているわけでもないけど。
ちなみにうちにあるCDは柳家さん喬のもの *1 と柳家小三治のもの *2 。
それと、録画しておいた「えほん寄席」。*3
この中で一番好きなのは実は「えほん寄席」だったりする・・・というのはさておき、本題へ。
「あくび」の難しさ
まずは、あくびそのものの難しさが考えられる。
あくびのような生理現象の演技は、自分でやってみようとすると意外と難しいように思う。
もちろん、素人とプロの落語家では大きな差があるだろうけど、審査員の柳家権太楼が「もっとあくびを綺麗に」というようなアドバイスをしていたことから、プロにとっても難しいのだということがうかがえる。
落語の場合は、ただリアルにやればいいというものではなく、観客に分かりやすくなければならない。
本物よりも本物らしく見せることが要求されるのだと思う。
『あくび指南』は「落語指南」か
だが、『あくび指南』の難しさはそれだけではないだろう。
あくびの師匠は、あくびの仕方を指導しているというよりは、それに至るまでの過程のほうを重視している。
季節感を豊かに表現する描写、単に覚えた台詞を言うだけではなく、その人物になりきって演じること、加えて、船に揺られる動きなども求められる。(煙草の仕草も必要だが、劇中では本物が使われている設定)
そう考えると、師匠が指南しているのは、あくびではなく落語であるかのように思えてくる。
つまり、それを演じる者にとっては、落語を指南できるぐらいの実力が求められるのではないだろうか。
弟子を取って稽古をつけた経験がまだないであろう若手の落語家にとっては、ハードルが高い噺なのかも知れない。
・・・なんて、素人の考えですから、まったく的外れかも知れませんけどね。