所用で飛行機に乗ったので、機内放送の「JAL名人会」を聴いていたら、三遊亭金遊の「錦の袈裟」がかかっていた。
この噺、今回初めて聴いて、その下品さに驚いた・・・のだけど、もう一度聴いてみたら、下品なイメージを抱いていた箇所が、直接的には下品な言葉が使われておらず、勝手に作り上げたイメージだったことに気付いた。
そのイメージの元になった表現が「皺を伸ばして・・・」と「輪っかがぶらぶらと・・・」の2つだ。
なお、メモを取りながら聴いていたわけではないので、誤りが含まれる可能性がいつもより高いことを申し添えておく。
錦の袈裟という噺は・・・
「錦の袈裟」という噺は、「隣町の連中が緋縮緬の長襦袢を作って吉原で見せつけて、自分達を愚弄したらしい」という噂を聞きつけた町内の若い衆が、それならばと錦の褌を締めて吉原へ繰り込み、隣町を見返してやろうじゃないかと算段するが・・・という噺だ。
皺を伸ばして・・・
錦の布は質屋から調達することができたのだが、与太郎の分だけは足りず、自分で調達しなければならなくなった。与太郎は妻の助言に従い、住職を騙して錦の袈裟を借りてくることにするのだが、その時に妻が言うのが「皺を伸ばして返しゃ、分かりゃしないよ・・・」というような台詞だ。
輪っかがぶらぶらと・・・
与太郎は住職が持っている袈裟の中でも、一番上等なものを借りてきてしまったので、輪っかまで付いていた。
そして、いよいよ吉原で褌を見せて踊ろうじゃないか、という段になった時に、「褌からぶら下がった輪っかがぶらぶらと・・・」と描写される。
狸のとか、犬のとか
これら2つの表現から勝手に連想してしまったのは、狸のものはとても大きいと言われているアレだ。果実の形状が犬のそれによく似ているからと名付けられたイヌノフグリという植物もある。(・・・と、これぐらいしか婉曲に表現する方法が思いつかないが、上手くいっているだろうか。)
不謹慎極まりない印象
そもそも、住職の袈裟を褌にするなんていうのが不謹慎な話なのだが、その上に上記の連想が働くので、「不謹慎極まりない」という印象を抱かされた。
でも、その不謹慎さ、とても落語的で、嫌いではない。
不謹慎な人への憧れ
年齢を重ねてくると、不謹慎なことを言うのが憚られるようになってくるものだが、そんな中で、いい年をして不謹慎なことを真面目にやってしまうベテラン芸人に対して、ある種の憧れのようなものを抱くことはないだろうか。
ただし、それは、単純に下品な言葉を言えばいいというものではなく、ひねりを加えた下品さであって欲しい。ケーシー高峰とか、面白かったな。(でも、上司があんな人だったら、困るだろうけど。)
三遊亭金遊
そして、三遊亭金遊師匠、残念ながら3月に亡くなったらしい。60代と言えば、落語家なら、まだまだこれからと言ってもいいのに、とても残念だ。
「JAL名人会」は2月に収録されたらしい。さらに、前日も弟子の「二ツ目昇進記念落語会」に出演されていたそうなので、まさに亡くなる直前まで現役の落語家だったと言える。いや、噺家という方が相応しいか。
ご冥福をお祈り致します。