tadashiro’s blog

しろのブログ

落語、北海道、野鳥など。

道産子ギャルは「なまら」とか「めんこい」とか使うかなぁ?

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今週はこれが2本目の記事です。

1本目は鳥の写真なので、鳥好きの方はそちらをご覧ください。

tadashiro.hatenablog.com

 

では、本題へ・・・

 

アニメのことで下手なことを書くと炎上しちゃいそうで怖いんですけど、恐る恐る書いています。

 

『道産子ギャルはなまらめんこい』というアニメが放送されてまして、「道産子」というキーワードだけで内容をよく知らずに見てみたんですよね。

遅い時間の放送なので、録画で。

 

で、やっぱり気になっちゃったのが北海道ネタ。

北海道あるあるについては、特におかしなところは見当たらなかったように思うのですが、北海道弁についてはちょっと物申したくなってしまいましてね。

 

怖いので一応書いておきますが、アニメの出来そのものとか、声優さんについてとやかく言うものではありませんので、熱狂的なファンの方たちはスルーしていただけると幸いです。

 

また、この先を読まれる方は、北海道は広いので道内でも地域差があり、舞台となっている北見市ではアニメのような方言が使われているのかもしれないということをご理解の上、読み進めていただけると幸いです。

 

さて、北海道弁については以前にも書いたことがあるのですけど*1、リアルな北海道弁ってあまり知られていないような気がするんですよね。

 

北海道弁の一番の特徴って、語彙じゃなくてイントネーションだと思うんですよ。

 

カーリングロコ・ソラーレのメンバーを思い浮かべていただくと分かりやすいと思うんですが、語彙の面では標準語とほとんど差異が無くて、ところどころにイントネーションの違いが出ちゃうっていうのが、今のリアルな北海道弁だと思います。

 

アニメでは冒頭からタクシーの運転手さんが標準語でも北海道弁でもない独特のイントネーションで話していました。

 

「本当にここでいいんかい?」という台詞なのですが、文字の大きさで音の高低を表すと、

「本当にここでいいんかい?」

みたいな感じで発音されていましたかね。

 

でも、ネイティブだと多分こう言います。

「ほんとにここでいいがい?」(「が」は鼻濁音に近く、最後の「い」は「あ」と「い」の中間の発音で)

 

語彙の面では、典型的な北海道弁の使用者は急速に減少していて、今の若い世代はほとんど使っていないと思います。

「なまら」「めんこい」「わや」などは、もうあまり使われていないのではないでしょうか。

 

私調べですが、40代〜50代が「子供の頃は使っていたけど、今は使っていない」って感じで、その下の世代になると、「聞いたことはあるけど、使ったことはない」って感じで、さらに下になると、「お爺ちゃん、お婆ちゃんが使っているのを聞いたことがある」っという子がいるかどうかって感じではないでしょうか。

 

しかも、最近は核家族が標準になっていますので、ギャルがバリバリの北海道弁を使うとなると、祖父母と同居していたとかの設定がないと不自然なんですよね。

今後、そういう背景が描かれるのかもしれませんが。

 

で、一番気になったのは、東京から来たという主人公に対して道産子ギャルが話した次の台詞。

「したっけ東京に比べたら、なまらわやでしょや、北見なんてさ。」

 

「したっけ」については前にも書いたので割愛して、「なまら」と「わや」について書くと・・・

 

「なまら」はどちらかというと男言葉だったんですよね。

最近は言葉の男女差が減っていますので、ギャルも使うかもしれませんが。

 

ただ、それよりも、「なまら」自体がかなり使われなくなっているんですよ。

最近の若者の間では「めっちゃ」にほぼ置き換わっているんじゃないでしょうかね。

アニメの道産子ギャルがお爺ちゃん子だったとかいう設定があると納得できるのですが。

 

もうひとつの「わや」も、使用頻度が減っていて、若い人の間では絶滅に近いんじゃないでしょうかね。

 

でも、それよりも気になったのは、「わや」が持っているニュアンスなんですよね。

「わや」は標準語の「滅茶苦茶」に近いでしょうかね。

「滅茶苦茶」と同様に、単に「良くない」という意味ではなく、ある種の否定的なニュアンスを含んでいると思います。

 

例えばある都市について「わやだ」と表現したとしたら、そこから思い浮かべる状況は「ゴミが散乱している」とか「インフラが整っていない」とか「行政サービスが一定の水準に達していない」とか「治安が悪い」とか「災害に見舞われて大変な状況である」とか・・・

 

実際の北見市はそんなことはないので、前述の台詞に違和感を覚えてしまうんですよ。

 

音声が伴わない漫画では、分かりやすい語彙を用いて方言を表現するしかないのかもしれませんが、音声に変換されると違和感が際立ってしまう気がします。

 

というわけで、私が道産子ギャルになりきって前述の台詞を言うとしたら、

「しら、なんく見えるっしょ、北見なんて。」

という感じでしょうかね。

 

まあ、原作とセリフを変えちゃうと、原作にこだわりの強いファンが怒っちゃうかもしれませんけどね。

 

【追記】

「したっけ」については、以前に書いたこととは別な理由で違和感があるように思います。

私の感覚では、「したっけ」の後には過去を表す表現が続くのが標準的なんですよね。

これについても地域差があるかもしれないので、断定はできませんが。

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