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太陽光発電ってほんとにエコなの?

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ある日、いつものように犬の散歩をしていると、お散歩コースの脇にある雑木林がすごい勢いで伐り倒されていました。

な、なにごと? なんか新しい施設でもできるの? でも、こんな所に何を?

と思っていると、数日後にソーラーパネルが運び込まれて来ました。

あぁ、そうか、ここもなのか・・・

最近、郊外をドライブしていると、あちこちにソーラーパネルが急増しているように感じていましたが、その波がついに我が家の周りにまで到達したようです。

【この記事の目次】

太陽光発電ってほんとにエコなの?

私有地ですから、土地の所有者がどう使おうと、もちろん自由です。

そして、地球規模で考えれば、化石燃料に頼り続けるわけにいかないってことも分かっています。

原子力発電は万が一の時のリスクが大きいってことももちろん分かっています。

でも・・・なんです。

この自然豊かな地で、慣れ親しんだ美しい風景が無造作に造り替えられていくのを傍観するのは、切ないものです。

いま私たちが住んでいるこの家だって、樹木を伐採した後の土地に乗っかっているのですから、伐採に反対できる立場にはないのですが。

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失われたもの

ほんの狭い面積の林でしたが、自然に造形された木々が複雑に重なり合って向こう側がまったく見えず、まるで深い森のようだったところが、今やすっかり見晴らしが良くなりました。

以前はエゾリスが走るのを見たことがあるし、どこかの大学の研究者が、珍しいキノコがあるとかで、調査に訪れていたこともあるし、珍しくはないけど季節ごとに花を咲かせる野草を楽しみにしていたところでもあるし・・・

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今日は、伐り倒された枝の上に、シマエナガが留まっていて、哀しそうな表情に見えてしまいました。

シンプルな造形の顔に自分自身の心情が投影されているだけで、彼らが何かを訴えているわけではないということは分かっているのですが、哀しい情景と感じずにはいられませんでした。

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環境の変化

林業で伐り倒された後は、時が経てば森林として復活するでしょう。自然の摂理からそれほど外れていないことのように思います。野生の動物達だって樹木を利用しますからね。

でも、パネルで覆われた地面はどうなるのでしょう。いつか、きちんと取り外して、自然に戻す時が訪れるのでしょうか。

もしかしたら、その前に、その環境に適応した生物相が生まれるかもしれませんが。

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ダム

以前、あるダムを見学したときに、「ダムは自然を豊かにする」という主張をするために、ダム建設前と比べて建設後の生物種が増えていることを示す写真パネルが掲示されているのを見たことがあります。

でも、それは、自然が豊かになった証しと言えるのでしょうか。結局、人為的に環境を変えてしまっただけのことなのではないでしょうか。

ダムが治水に役立っていることは知っていますし、総合的に考えて水力発電が自然への負荷が少ないことも知っています。

ですから、ダム建設に反対しているわけではないのですが、「自然を豊かにする」というのは詭弁のように感じられてしまいます。

「ダムは自然環境への影響が無いわけではありませんが、悪影響は充分に少ないと言えます。だから建設しても大きな問題は起きません。」というのがより正確なのではないでしょうか。

ソーラーパネル

ソーラーパネルも、自然への影響が無いわけではないはずです。

詳しくは知りませんが、製造過程では何らかのエネルギーが必要なのは間違いないでしょう。ということは、二酸化炭素を排出するということですし、製造に必要な腐食剤は環境への影響が懸念されているそうです。 

www.taiyo-co.jpそして、設置のためには、化石燃料を燃やして重機を動かし、樹木を伐採し、野生動物を追い出し、野草が生い茂るのを妨げます。土砂崩れの危険性も増すことになるでしょう。

二酸化炭素を減らす目的のはずのソーラーパネルを設置するために、二酸化炭素を吸収する機能を持った樹木を伐採する・・・二酸化炭素の排出と吸収のバランスは取れているのでしょうか。*1

NIMBY

NIMBY という言葉があります。"Not In My Back Yard"(我が家の裏には御免)の略で、「施設の必要性は認めるが、自らの居住地域には建てないでくれ」と主張する住民や、その態度を指す言葉だそうです。*2

もしも、トータルでは二酸化炭素を減少させられるのだとすれば、私たちの態度はただの NIMBY です。

しかし、それでもあえて言いたいのは、ソーラーパネルと言えども、手放しで礼賛できるものではなく、NIMBY の対象となり得る施設だということです。

NIMBY を減らすためには、メリットを強調するばかりではなく、デメリットもきちんと挙げたうえで両者を冷静に比較し、メリットのほうが上回っていることを説明する必要があるのではないでしょうか。

しかし、現状ではメリットを強調する情報ばかりが目立っていて、それだと、設置によって影響を受ける周辺住民はかえって懐疑的になってしまうように思います。

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門外漢ではありますが

門外漢なので断定的なことは言えませんが、「ひょっとしたら」と思うことを書いてみます。

固定価格買取制度

現在のところ、太陽光発電のコストは高く、固定価格買取制度によって支えられているようです。*3

再生可能エネルギーへの転換を促すための制度ですから、それにより、ソーラーパネルの設置には経済的なメリットが生まれるわけです。ですから、環境のためというよりは、経済的な目的だけで設置する業者がいてもおかしくはありません。

もちろん、経済活動だからというのは、非難されるべき理由にはなりません。法令に違反しない範囲であれば、経済活動は自由に行われるべきものです。

ですが、そこら中に作られているソーラーパネルのすべてがきちんと環境アセスメントを行っているようには思えません。*4

制度の問題ですから、業者を責めるつもりはありませんが、もしも無秩序に作られる状況が頻発するようなら、制度に修正を加える必要が出てくるのではないでしょうか。

買取期間の満了

固定価格での買取期間は10年間と定められているそうです。*5

2009年の11月に開始した買取制度のため、その頃に事業を開始した業者は、2019年11月以降、その期間が順次満了していっているものと思われます。

そのことと最近のソーラーパネル急増は関係がある・・・かどうかは分かりませんが、もしも、この推測が当たっているとすれば、期間満了により買取価格が下がってしまう業者が新しいパネルに乗り替えようとしているのかも・・・というのは、ただの妄想でしょうか。

でも、もしも妄想でないとしたら、環境のための制度が逆に環境破壊を引き起こしてしまいかねないと危惧しているのですが、本当のところはどうなんでしょう。

あとがき

面白味のない話で終始してしまいました。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

環境問題について考えるときに、少しでも参考にしていただければ幸いです。

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