先日は東京で雪が降りましたね。
雪に慣れていない地域でたまに雪が降ると、とても大変ですよね。
ニュースでは、転倒事故やスリップ事故が多発したと報じていましたね。
そのニュースを見た道産子の夫がつぶやきました。
「なんでそんなに滑っちゃうんだろう?」
おっ? 噂の「雪国マウント」ってやつですか?
「いや、そういうのじゃなくて、純粋に不思議に思うから、その理由を知りたいんだけど。」
なるほど、雪国の人たちには不思議に思えるのでしょうね。
ならば、東京生まれの妻が雪国の人の疑問に答えて差し上げましょう。
東京の人たちは、恐らく冬用の靴があるっていうことを知らないんですよ。
妻が北海道での初めて雪道を歩いた時、普通のパンプスを履いていたものですから、ものすごく滑って困りました。
その時にパンプスは滑るんだなぁ・・・ということを学んだのですが、その次に選択したのはスニーカーでした。
スニーカーならきっとましだろうと考えたのです。
それから、ひと冬はスニーカーで過ごしました。
もちろん、何度も滑りましたよ。
スーパーで買った卵をアパートに着くまでに割ってしまったのは一度や二度ではありません。
道産子の友人たちも冬になると靴を替えるということを教えてくれなかったんですよね。
きっと、あまりにも当たり前過ぎて、そんなことを知らない人がいるなんて、考えもしなかったんでしょう。
2年目の冬のある日、友人があまりにもおばさんぽいブーツを履いていたので、理由をたずねると、「これはスパイク付きだから、今日みたいなツルッツルの時でも滑らないんだよ!」と靴底を見せてくれ、初めて冬靴の存在を知ったのです。
その時の会話で、普通のパンプスでも靴底に滑り止めを貼るという方法があることも知りました。
そうか、それで道民は雪道でも普通に歩けるのか。
冬用の靴さえ履けば、私だって・・・と思った妻でしたが、滑り難くはなったものの、いまだに普通に歩けるようにはなっていません。
というわけで、東京の人たちは冬用の装備があるってことを知らないか、存在は知っていてもその性能差を知らないのではないでしょうか。
「うーん、そういう事情は知っているし、数年に1度あるかないかの事象のためにコストをかけるのが現実的ではないってことも分かるのだけど、それでも不思議に思うのは、どうして危険を冒して歩いたり、夏タイヤで運転しちゃうのかっていうこと。雪道をなめてるの?」
おっと、そう来ましたか。
スタッドレスタイヤにしていても、カーブや交差点でヒヤッとした経験がある雪国の人にとっては、夏タイヤで雪道を運転するのは信じ難い暴挙に感じられるのでしょう。
でも、それはきっとなめているというより、雪道が危ないってことを知らないからじゃないでしょうか。
妻が東京の高校に通っていた頃、雪が降った日に自転車で出かけようとしたことがあります。
もちろん派手に滑って怪我をしてしまいました。
「自転車は危ないよ。この辺でも自転車に乗っている人ってほとんどいないよね。」
はい、おっしゃる通りです。
でも、そんなに危ないっていう認識が無かったのですよ。
きっと、昨日東京で滑っちゃった人たちも、そんなに滑るとは思わなかったのではないでしょうか。
「でもさ、『こんなに滑ると思わなかった』ってインタビューに答えていた人はけっこう年配の人に見えたんだけど。これまでに雪を経験したことはあるはずだよね。」
うーん、難問です。
もしかしたら、滑ったことはあっても、転んで怪我をするような痛い目にあうまでは無かったとか、数年に1度ぐらいしか危ないことがないから、「喉元過ぎれば」ってやつで忘れてしまうのか・・・
「そうか、雪国で育った人たちは、みんな子供の頃に何度も転んで痛い目にあっているはずだからなぁ。そういう経験が無ければ、雪道が滑るってことを知らないのかも。」
と、夫は勝手に納得してくれました。
それにしても、10センチ程度の積雪なんて、東京の気温だったらあっという間に融けちゃいますよね。
無理せずに家でおとなしくしていればいいのに。
・・・って、これが「雪国マウント」?
妻も雪国に馴染んできたようです。