今日の「演芸図鑑」に江戸家小猫が出演していた。
先代の小猫(四代目猫八)は、好きな芸人の一人だったので、名跡を継いでくれた当代の小猫には期待していたのだけど、名前だけでなく、肝心の芸の方もうまく継承できたんじゃないだろうか。
単なるコピーだと、大抵は劣化コピーになるのがおちなんだけど、小猫の場合は「ウグイス」に代表される伝統芸はそのまま継承しつつ、父とは違う動物を多数取り上げ、独自性を出している。
去り際に「江戸家と言えば『ウグイス』でしたが、これからは『フクロテナガザル』と言われるように・・・」と言っていたけど、遠からずそうなるだろうと思った。
また、声帯模写をつなぐ話術にも独自性を纏わせていて、さらにそれが板に付いてきたと思う。
祖父に当たる三代目猫八の芸は、良くは知らないのだけど、『[二代目 江戸家小猫さん]「猫八の名は任せた」 : yomiDr. / ヨミドクター(読売新聞)(外部リンク)』によれば、四代目猫八についての説明で、
父の三代目猫八さんが巧みな話芸で人気を博したのに対し、鳥をメインに数百種類の鳴きまねレパートリーを持ち
とあるので、もしかしたら、祖父の話芸もうまく受け継いでいるのかも知れない。
実力的には、もう五代目猫八を名乗っても良さそうなのだけど、イメージが小猫っぽいから、もう少し小猫でがんばっていただこう。
そういえば、四代目猫八がまだ元気だったころに、寄席で親子の共演を観たことがある。その時はまだ見習いっぽさが残っていたのだけど、今にして思えば、芸が継承されていく過程の一場面に立ち会えたようなものだから、貴重な経験だったと思う。
こういうことがあると、寄席に行きたいという気持ちが普段にも増してさらに強くなるんだけど、北海道からはあまりにも遠い。でも、逆に、数少ない経験が記憶に強く残りやすいという利点もある・・・と、自分に言い聞かせよう。
ところで、落語のほうは桂米團治の『天狗裁き』だった。柳家さん喬の *1 がお気に入りで、何度も聴いちゃったものだから、江戸のイメージを持っていたのだけど、Wikipedia によれば、元々は上方のものだったらしい。*2 しかも、発掘・再構成して現代に甦らせたのが三代目桂米朝というから、今日のはかなり源流に近いのかも知れない。
ともに偉大な父が芸の師匠でもあった2人の競演は偶然だったのか、意図的だったのか。
米團治が『天狗裁き』を選んだのは、それを意識してのことなのか否か。
いずれにしろ、楽しめたので良かった。
今日は観客の声も耳障りじゃなかったし。
*2:天狗裁き - Wikipedia(外部リンク)